私は文鳥を飼っている。
名前はフェデラー。
天才テニスプレイヤーからとった名前。
以前の恋人がつけた名前だ。
その人はテニスが好きだった。私はテニスにさほど興味はない。
きょうはフェデラーの鳥かごを丸洗いして、天日干しにした。
いい天気だったから。
文鳥を飼うきっかけになったのは小川洋子さんの「ことり」という本を読んで、鳥に興味を持った。
鳥はとても賢くて、素敵な生き物だと思った。
実際飼って、観察して思ったのは、昆虫のように計算されたような美しさと、人なつこいケモノっぽさを兼ね備えているということ。
計ったように、日が昇ると目を覚まして、鳴く。
鳥かごから出すと、甘えるようにわたしからくっついて離れない。
どちらも素敵で、私には尊い。
いろんなことがうまくいかないときに泣きながら、「フェデラーは私に飼われてよかった?」と聞いたことがある。
当然、言葉は通じないので、「ぴっぴっ」とだけ鳴いた。
私は文鳥にすら甘えながら
きょうも生きてる。